だけど――


「その……」


言葉が出ない。

喉元まで出かかっていたのに、急に心臓の音だけがうるさくなった。


「來……わたしね――」

「俺さ」


わたしの言葉を遮るように、來がふっとつぶやいた。


「……俺、お前のことずっと好きだった」


一瞬、時間が止まった。

頭が真っ白になる。


「……え?」

「ずっと。最初からかって言われたら自信ないけど、少なくとも、同じ家に住み始めてからずっと」


聲が震えていた。

來がこんなふうに自分の気持ちを口にするなんて思ってなかった。


だからこそ、余計に胸が苦しくなった。


「なんで……また先に言うの……」


わたしの聲は涙でにじんでいた。


「ごめん。でも、間に合わなかったら悔しいから」

「ずるいよ……」


自然と涙が頬をつたっていく。

泣きたいわけじゃなかったのに。


「わたしだって、言おうとしたのに……ずっと、言いたくて……でも怖くて……」