手のひらほどのその紙を、奈那子は両手で大切に受け取った。

封もないその手紙を、そっと開く。


そこに書かれていたのは、たった数行の言葉だった。

『先生、また会えるのが楽しみです。がんばってみます。』


それだけだった。

でも、その「がんばってみます」の五文字に、奈那子は息を呑む。


思わず涙が込み上げ、目の奥が熱くなった。


「……この子、本当に……がんばろうとしてる」


震える声でそう呟いた瞬間、堪えていたものがこぼれ落ちる。

手紙を持ったまま、奈那子はソファの端に腰を下ろし、ぽたりぽたりと涙をこぼした。


その姿を見た來は、何も言わず隣に座り、そっと彼女の肩を抱いた。