「その後……元カレさんから、連絡ってありましたか?」
「いいえ、本人からは。友人を通して、何度かですけど」
話していて驚いたのは、來も同じ状況だったということ。
元カノの友人から連絡が絶えず届くと言う。
内容はわたしの元カレのそれと似たようなものだった。
「彼女、早く結婚したいって言ってるらしくて。“早く決着をつけてあげて”みたいなこと、毎日のように言われるんです」
ため息まじりにそう言う彼の目元には、疲れがにじんでいた。
「……それはしんどいですね」
「ええ。でも、彼女には本当に、幸せになってほしいと思ってます。だから……俺自身も、前に進まないといけないのかなって」
前に進むための結婚――。
それは少し奇妙な響きだったけれど、彼の言葉はわたしの心にも沁み込んできた。
「元カノのこと、まだ好きなんですか?」
「正直、答えが出せてません。でも……君と話してると、気が楽になるんです」
不意に、まっすぐな瞳で見つめられた。



