その夜。 「來、どうしたの?さっきから元気ないみたいだけど」 「ん……いや、ちょっと考え事してて」 「そっか……何かあった?」 「別に、大したことじゃないよ」 來は視線をそらし、何かを飲み込むように目を伏せた。 本当は問い詰めたい。 でも、それができない自分が悔しい。 來はまだ、「好き」と言ってくれていない。 それはわたしも同じだ。 けれど、その沈黙が、これから何かを壊してしまいそうで――。