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日曜の午後、久しぶりに一人で買い物へ出かけた。
來と一緒に過ごす時間が増えてきて、こうして2人きりの時間にも慣れてきたころだった。
最近は家にいるだけで落ち着けるし、來がいると気持ちが穏やかになる。
でも、ちょっとしたプレゼントでも買って帰れたら――そんな気持ちもあって、駅前のショッピングモールへと足を運び、來には店の前で待っていてもらって、わたしひとりで店内へと入った。
手に取ったのは、シンプルなグレーのマグカップ。
來が好きそうな、無駄のないデザイン。
家の中でさりげなく使ってもらえたら嬉しいなと思っていた、そのときだった。
「……奈那子?」
突然名前を呼ばれ、手が止まった。
――この声、聞き間違えるはずがない。
恐る恐る振り返ると、そこに立っていたのは望だった。
2年ぶりに見る顔。変わったようで、変わっていない。
穏やかな表情に見えるけれど、どこか疲れているようにも見えた。
「久しぶり……元気だった?」
「うん。そっちは……どう?」
「まあ、それなりに。仕事ばっかりだけどさ」
何を話していいのかわからず、視線を彷徨わせていると、望が苦笑した。



