卒業まであと30日、キミのことが知りたい。







「菊月さん、俺のワガママに付き合ってくれてありがとう」


「ううん、そんなことないよ。こちらこそ、ありがとう」



何気ない話だったのに、なぜか葛葉くんとの話は()きなくて。


いつの間にか駅に着いてしまっていた。




「俺、今日はどうしても長く菊月さんといっしょにいたかったから。もしかしたら、迷惑かけてたんじゃないなって不安だったんだけど……」



「そんなことないよ! 私、今日は葛葉くんといっぱい話せて楽しかった!」



むしろ、私の願いをたくさん叶えてもらったよ。



「それならよかった」



ホッとしたように、葛葉くんが笑う。




「じゃあ菊月さん、気をつけて帰ってね」

「うん。葛葉くんもね」

「ありがとう」



葛葉くんは私に背を向ける。


もう葛葉くんが行ってしまう――その前に。