❀ ――ピンポンパンポーン……。 「下校時刻になりました。まだ残っている生徒は速やかに下校してください。くり返します――」 会話が盛りあがっているところで、校内放送が流れた。 「明日は卒業式だから、今日はいつもより下校時間が早いなぁ」 「そうだね」 本音を言うと、今日だけでいいから、今まででいちばん長く葛葉くんといっしょにいたかった。 「さて……と、そろそろ帰ろうか」 「うん……」 もうこれで葛葉くんとふたりきりで話すのは終わるんだなぁ。