ーー『栗栖、お前は、ただのエゴイストだ』


あたしの頭の中で、桂田くんの言葉が反響(はんきょう)する。


「………はぁ? なに言ってんの桂田くん」


あたしはネックレスを制服の下にしまいながら、ふてぶてしい態度で、
桂田くんをじろりと見た。


「桂田くん、あたしが利己主義者ーー、ざっくり言うとわがままって意味
になるけど、そう言いたいワケ?」


「そうだよ、お前は超ド級のエゴイスト。………栗栖は万桜の近くに
いたはずなのに、万桜のこと全然わかってないな」