「あのさぁ、栗栖」 「な、なに?」 一呼吸置いてから、俺は栗栖の目を見る。 「お前が、万桜をこんな風にした犯人だろ」 真っ白な壁の空間が、シン、と一気に静まり返った。 「……や、やだなぁ、もう! 桂田くん変なこと言わないでよ~! 冗談でも、その言い方はきついよぉ~!!」 俺の背中をバシバシとはたく栗栖の腕を掴んで、俺は椅子から立ち上がる。 「俺は、万桜の力で、過去に戻る前の5月20日に、通り魔に刺された。 その時、犯人はフードを被って顔がわからなかった。けど……」