「ああ、俺、馬鹿だよ。万桜のことになると、頭おかしくなるくらい、
どうしようもなくなる」


俺は、眠っている万桜の頭を優しくなでた。


「ーーっ、」


「栗栖、どうかしたか?」


両手にグッと力を込めて、下を向いていた栗栖が、少しだけ顔を
こちらに向ける。


その栗栖の表情はーー、憤怒(ふんぬ)でゆがんでいた。


栗栖はいきなり、俺の制服のシャツの襟の部分を、ガッとつかんで
こう言い放つ。