俺は、栗栖の目を真っすぐ見て、心の中で決意した。 「10年、100年かかっても、万桜はきっと還(かえ)ってくれるって そう信じたい。だって俺はーー、万桜のことが誰よりも好きだから、 諦めない、そう決めたんだ」 万桜の右手を、俺はぎゅっと握った。 小さくてぬくもりを感じるその手は、確かに生きているという証拠だ。 と、その時。 「………馬鹿じゃないの」 呟いたのは、紛れもなく栗栖だった。