王子様に恋の魔法をかけられて。


「桂田くん、万桜がこうなって悲しくて苦しいよね……? 大丈夫? 
あたしが慰めてあげるから………、元気だして?」


栗栖はそう言うと、両手を広げて俺を抱きしめようとした。


しかし、俺はそれを言葉で拒否する。


「おい、栗栖、お前勘違いしているぞ」


「へ………?」 


「確かにやりきれない気持ちでいっぱいだ。でも、あの医者言ってただろ、
目覚める確率は低いって。それってつまり、絶対に目覚めないとも言えない
ことだろ」