王子様に恋の魔法をかけられて。


「桂田くん、初めまして。鹿森万桜さんの担当医の石田といいます」


その場で丁重(ていちょう)に頭を下げる石田先生につられて、俺も
挨拶をした。


石田先生は、側にいた栗栖に目をやってから、ゆっくりと俺に話し始めた。


「鹿森万桜さんは、頭以外は奇跡的に無傷で済みました。だから、命に
別条はありません。ただーー、後頭部の打撃によって、このまま目覚める
確率は低いと思われます」


………は? 今なんて?


俺は、頭が真っ白になる。