「ま、お……?」 視界に映ったのは、人工呼吸器をつけて、頭に包帯を巻いた万桜の姿。 仰向けで、まぶたは閉じたままベットに眠っており、予想よりもずっと、 顔はきれいなままだった。 万桜のベットの横には心電図のモニターがあり、心臓の活動をグラフ化 していて、線が上がったり下がったりしている。 看護婦が口を開いた。 「あ、ドクターがいらっしゃいましたよ」 振り向くと、白衣をまとった40代くらいの、威厳が感じられる男が立っていた。