「桂田千星さんですね? 鹿森さんの病室に案内いたしますのでただちに
着いてきてください」


「はい。わかりました」


俺と栗栖は、看護婦の後ろを追って歩いて、病棟(びょうとう)に向かう為に
エレベーターに乗り込む。


「なぁ、栗栖」


密閉された空間の中で、俺は栗栖に訪ねた。


「なに? 桂田くん」


ウイィィィィーー、とエレベーターが動き始める。


「栗栖は、万桜にもう会ったんだろ?」


「うん。でも、あたしの口から万桜が今どんな状態なのかは、怖くて
言えないの……、ごめんなさい」