王子様に恋の魔法をかけられて。


「万桜、おはよ~!」


今日使う教科書を机の中に入れていると、親友の栗栖花歩(くりす かほ)
ちゃんがこちらに寄って来た。


「花歩ちゃん、おはようっ!」


相変わらず美少女だな……、とわたしは花歩ちゃんを見てそう心の中で
頷いた。


茶色のボブヘアに、パッチリとした瞳が可愛くて、わたしも花歩ちゃんぐらい
美人だったらなぁと羨ましく思う。


「ふふふ、万桜ってば王子様とご登校? 美男美女で似合ってるねっ♡」


花歩ちゃんの言葉にわたしは首を傾げた。