だって、その人はーー、栗栖花歩ちゃんだったから。


無表情で、眉一つ動かさない花歩ちゃんに、わたしは一歩あとずさる。


わたしは、体から一気に冷や汗が噴き出すのがわかった。


「花歩ちゃん………、な、の?」


するとそこで、花歩ちゃんは、右だけ口を吊り上げてニヤリと笑う。


「万桜、残念だったねー! 本当の通り魔はこのあたし。あんたと
同じ魔法使いだよ、あははっ! 小松木を利用して、安心しきったあんた
のチャンスをずっと待っていたの~、どう? あたし天才でしょ?」