わたしは、再び千星くんに抱きしめられる。 さっきは優しく包み込むような力加減だったけど、今度は、わたしを 離したくないと言わんばかりに、ぎゅっと千星くんの手に力がこもっていた。 心臓が早鐘(はやがね)を打つ。 「………っ、俺メチャクチャ今、人生最大に嬉しい」 すると、そっと千星くんが耳元で、甘く囁く。 「なぁ、万桜、キス、していいか……?」 わたしは、恥ずかしかったけれど、「うんっ……」と小声で答える。