だけどわたしは、そんな小松木くんに一歩も引かなかった。


怖くないと言えば嘘になっちゃうけれど、わたしは、わたしを好きだった
と言う小松木くんと、争いたくなくて。


ーーバキン! バキバキ……!


わたしは、小松木くんの手の中にあるナイフだけを、魔術で真っ二つに
してから粉々に砕いた。


「小松木くん、わたしを好きになってくれてありがとう。………でもね、
小松木くんには、悪役は似合わないよ? だってーー、小松木くんは
優しくて、人一倍努力家なのは知ってるから」