「万桜、気を付けろよ」 2人並び、歩き始めた直後に千星くんは神妙な面持(おもも)ちで いきなりそう言った。 「へっ……!? あ、通り魔?」 「『あ、通り魔?』じゃねーよ、万桜は可愛いから絶対狙われる。外では絶対に 俺の側から離れるんじゃねーぞ?」 千星くんの整った顔立ちが、ずいっと迫る。 そう、実は最近この近辺で通り魔事件が起こっていて、噂によるとその 通り魔は、フードで顔を隠して正体不明。 一つ分かっているのは、ウチの学校の女子生徒だけを襲っているとのこと。