「俺はただ、先生にちょっと呼び出されただけ。万桜、俺早く
ここから出たい。なんか、みんなすごいこっちに注目してるから」


千星くんは、ぶっきらぼうにそう言ったけど、わたしのことを気遣って
くれている優しさが垣間見えてちょっぴり嬉しくなる。


「万桜、さっさと行こ」


「う、うんっ……!」


夕陽色に染まった、お店が立ち並ぶ道をわたしと千星くんは、並んで歩く。


「小松木くんに、誤解させちゃったね。わたしたち、ただの幼なじみなのに
なんだか付き合ってるみたいな、そんな風に思い込んでるみたいだったよ……」