あっ、また千星くん一人で教室出て行っちゃったよ……。


放課後が終わってすぐ、花歩ちゃんとお喋りしている隙に、千星くんは
わたしに何も言わず、勝手に下校してしまう。


『万桜、一緒に帰ろ?』と、言ってくれた千星くんが懐かしく感じて、
悲しくなるわたし。


すると、その時。


「鹿森さん、良かったら僕と帰らない?」


振り向くと、いつの間にか小松木くんが、ニコニコして立っている。


けど、わたしは朝のことを思い出し、素直に「いいよ」とそのご厚意を
受け取れなかった。