王子様に恋の魔法をかけられて。


「あ、あの、わたし今日先生に用事があるからっ……! 
先に行ってるねっ……!」


「えっ!? ちょ、鹿森さーー」


わたしは小松木くんの引き止める言葉を遮って、その場から逃げた。


心の中で、「小松木くん、ごめんねっ……!」と再び謝りながら。


自分の教室の中に入って、くるりと見渡すと自席にいる千星くんは
女の子たちに囲まれている。


わたしは、ズキリと痛む胸を隠して、机に座った。