王子様に恋の魔法をかけられて。


「あのさ、僕と教室まで一緒しない?」


「え、あ、うん。いいよっ……!」


小松木くんとはあまり喋ったことがないし、親しくもないけど、せっかくの
お誘いを断るのもかわいそうと思ったわたしは、そう返事した。


笑顔を上手くつくったつもりなんだけれど、小松木くんにはお見通しだった
みたいで、わたしの顔を覗き込んできた。


「鹿森さん、元気ないね? なんかあった?」


「へっ……!? そ、そうかなっ、小松木くんの気のせいじゃない?
あははっ……」