王子様に恋の魔法をかけられて。


「え? いや、僕はいいよ別に。今回は遠慮しとくよ」


「春陽、お前、いつもそう言うけど、鹿森さんのことチラチラ気にしてんの
俺たちには、バレてるから。ほらっ、行って来いよ!」


わたしは、そんな会話が繰り広げられていることも知らず、しょんぼりしたまま
景色が住宅地から、並木道に変わるとーー。


「し、鹿森さん、お、おはよう!」


ーーえっ?


振り返ると、クラスでも爽やかモテ男子で有名な、
小松木春陽(こまつぎ はるひ)くんがはにかみながら、寄って来た。