王子様に恋の魔法をかけられて。


制服に着替えて、お母さんが用意してくれた朝食を食べ、身支度を完璧に
済ませる。


シューズクローゼットの横でローファーに履き替えて、「行ってきます……!」
と、わたしはにこにこ笑顔で見送るお母さんに、そう言って家を出た。


わたしの家は一戸建てで、ブロック塀の外でスマホをいじくりながら待っていて
くれた千星くん。


わたしは笑顔で彼に駆け寄る。


「千星くんっ、おはようっ……!」


「ん、おはよ」


千星くんは、スマホを制服のポケットにしまって、優しい眼差しをわたしに
向けてくれる。