王子様に恋の魔法をかけられて。


わたしは廊下を歩きながら、千星くんの姿を探す。


すると、靴箱でローファーに履き替えているのはーー、紛れもなく千星くん
だった。


わたしは、急いで駆け寄り小声でこう言った。


「ち、千星くん、一人で帰るなんてまた通り魔に襲われちゃうよっ……!?
一緒に帰ろうっ……!!」


すると、千星くんは今までわたしに向けたことのない、冷たい
瞳でわたしを見る。


「………はぁー、仕方ねぇな」


わたしの目の前でため息を吐いた千星くんは、いかにもわたしと一緒に
帰りたくなさそうだ。