王子様に恋の魔法をかけられて。


わたしは、千星くんを見て悲鳴をあげる。


だって、千星くんの背中にはーー、根元まで深く突き刺さった凶器、ナイフ
らしきものが突き刺さっていたから。


そこを中心として広がるようにジワリと血が、制服に滲んでいた。


わたしは千星くんと同じ目線になるように急いでかがみこんで、顔を
覗き込む。


千星くんの顔は、真っ青だ。


「クククッ………」


「………え?」


視線を千星くんから離すとーー、数メートル離れた場所に立っていたのは、
顔をフードで隠した人。


と、通り魔だっ……!