王子様に恋の魔法をかけられて。


その証拠に、わたしは悪口を言われてしょんぼりしていたのに、今は
千星くんとの他愛もないお喋りに夢中になっていた。


この時間がずっと続けばいいのにーー、と思っていた時。


「万桜、危ない!」


「へ? ーーっ、きゃっ!?」


わたしは突然、千星くんに後ろから抱きしめられる形になった。


思わず、頬が紅潮(こうちょう)する。


けど、その数秒後、わたしの首に回った千星くんの手が緩み、
ズルズルと、千星くんは地面にしゃがみ込んだ。