ーー、わたしは片手に、誰かのぬくもりを感じながら、ゆっくりと
瞼を開く。
見慣れない白の天井に、独特の消毒液の香りが鼻をかすめる。
「ま、お……? 万桜!?」
「あれ? ここ病院? わたし、なんで生きてーー」
『なんで生きてるの?』と言いかけた途端、千星くんは、寝ているわたしに
覆いかぶさって抱きしめる。
千星くんの肩がわずかに震えていることに、気が付きわたしもギュっと
背中に手を回した。
それから、看護婦さんと、担当医の石田先生という人が慌てて来て、
目覚めたわたしを見ながら、大変驚いていた様子だった。