すると、ふわっとあたしの頭の上に手が乗せられ、優しい声が降ってきた。


「栗栖、分かってくれたんならそれでいい」


万桜と二人きりになりたいという桂田くんのお願いで、あたしは病室を出る。


パタンと扉を閉めてから、戸のガラス越しに見える寝ている万桜と桂田くん
をチラリと見て、あたしは呪文を唱えた。


「გთხოვ განკურნე მისი ჭრილობები!」
(どうか彼女の怪我を癒したまえ!)