設置が終わる頃には20時を回ろうとしていた。

ほとんどの社員がまた残っていた。

僕は部長に機器の動作確認と操作説明をしようとしたが、何かあれば連絡するよと言いサインをした。

部長は今日はありがとうと言い、仕事に戻った。

一度会社に戻り書類を保管した。

そういえば妻に連絡をしていなかったことを思い出した。

妻から連絡はきていなかった。


家に着いたのは21時過ぎだった。

帰りにマナミが食べたいと言っていたケーキ屋は閉まっており、欲しいと言っていたオモチャがあるお店も閉まっていた。

家に着くと妻がリビングでテレビを観ていた。

「おかえりなさい。今日は大変だったのね」

妻はそう言うと夕飯を温めてくれた。

僕は帰りが遅くなったことを謝罪した。

「あなたのことだから急な仕事が入ったんだろうと思ってたわ。マナミには私から話をしたわ」

ついさっきまで起きていたようだが、眠ってしまったらしい。

寝室に行くと、ぐっすりと眠っていた。

僕は先にシャワーを浴びてから食事をした。

妻は冷蔵庫から缶ビールを2本持ってきた。

1本は僕の前に置きもう1本は彼女が飲んだ。

「お誕生日、おめでとう」

彼女はそう言って乾杯した。

マナミは僕が帰ってこないことに少し怒っていたようだが、妻がなだめると一人で何かぶつぶつと言っていたらしい。

娘は今年で5歳になる。

わがままな一面はあるが妻の育て方が良いのだろう。

5歳のわりには物わかりがいいところもある。

妻は今日の日のためにマナミの好きな料理を作っていた。

誕生日にケーキを食べさせてあげれなかったことに少し後悔した。

妻は僕の食事が終わるのを待ち食べ終わると食器を洗った。

「これを見て。今日マナミが幼稚園で誕生日プレゼントにもらったの」

そこには満面の笑みを浮かべたマナミの写真がバースデーカードに貼られていた。