ついさっきまで座ってた曽我部君の隣に、近海君がいない。


「今、急に他のやつと班組む約束してたの忘れてたとか言いだしてさぁ。向こう行っちゃったよ。」

木屋谷君が口を尖らせて、視線で前の方を示した。

「え…」

視線を辿ると、近海君が別の男の子と肩を組んで笑ってるのが見えた。





そっ、かぁ…。



「…なんてこった」

「え?どうする?」

私より頭ひとつ背の高い花乃ちゃんと姫ちゃんが、放心する私の頭の上で会議を始めた。

「なんだよ、お前らも近海狙いかよぉ。萎えるわぁ」

木屋谷君がベリーショートの短髪をポリポリかいた。

近海君が行ったグループはもう女の子が決まったみたいで、はやくも自由時間どこに行くかで盛り上がってる。

「手遅れか…ぬかった…!」

花乃ちゃんが舌打ちした。

「行きやすか?力づくで奪い取りやすか?」

姫ちゃんが縁起でもないことを言う。


「だーめ。」