ツンデレラ

僕はラジオを聴き終わった後、喉が渇いたため一階へコーラを取りに行った。

隣の兄の部屋は電気がついていた。

彼女は本当に僕の家にしばらくいるつもりなのだろうか?

リビングには母親がいたが特に何も聞かなかったし、彼女からも何も言わなかった。

ウィスキーを飲みながら雑誌を読んでいた。

それから数日が経ったが、僕は母親とも彼女ともほとんど話さなかった。

元々僕もあまり喋る方ではない。


ある日の夜、葉月からメールがきた。

明日は午前中に部活が終わるから午後から遊びに行かないかとのことだった。

僕は予定もなかったので、いつもの喫茶店で待ち合わせをした。

彼女はテニス部に入っており、すっかり肌も日焼けしていた。

僕達はアイスカフェオレを注文し、しばらく喫茶店で話をした。

彼女は来週から熱海に旅行するとのことだった。

その後、公園まで散歩をした。

彼女は繋いだ手を時折ハンカチで拭っていた。

夏だから汗は誰でもかくものさ。

僕はそう言ったが彼女は首を振った。

公園では夏休みの小学生が走り回ったり中学生がサッカーをしていた。

僕らはそんな光景を眺めていた。

突然彼女が口を開いた。

「私が旅行に行っている間に他の女の子と遊んじゃダメよ」

彼女はそう言って微笑んだ。

そんなことはしないよ、僕はそう言って葉月の方を見た。

葉月はハンカチで汗を拭いながら目線を下に降ろした。

夕方になり僕は葉月をマンションの前まで送って行った。

帰り道、彼女は部活の話をしていた。

彼女はテニスの話になると止められないところがある。

マンションの前に着いても喋り続けていた。

僕は彼女の頬に僕の頬を寄せて軽く抱きしめた。

彼女はぴたっと会話をやめ、僕の腰に手を回した。

「楽しんできてね」

僕がそう言うと彼女は頷き別れた。