ツンデレラ

彼の携帯がなった。

きっと彼女からだろう。

また連絡すると言って彼は帰って行った。

僕は新しいゲームを一時間ほどやって帰った。

家に帰ると見慣れない靴が玄関にあった。

珍しいことではない。

僕の母は社交的な人間で家に知人を呼ぶことはよくあることだ。

僕は部屋に戻った。

僕の隣の部屋は元々兄の部屋だった。

僕が部屋に戻ろうとした際、いくつかの段ボールが置かれていた。

部屋の奥でガムテープを剥がす音や話し声が聞こえたが特に気にしなかった。

しばらく部屋で音楽を聴いたり本を読んだりしていた。


夜になりお腹も空いたのでリビングで食事をすることにした。

母と一人の女性が話をしていた。

僕は軽い挨拶をすると彼女も挨拶を返した。

僕は食事を終えシャワーを浴び、再び部屋へ戻った。

時折リビングへ行くと彼女はまだそこにいた。

明日から夏休みなんだね?

はいとだけ答えた。


翌朝部屋を出ると兄の部屋の段ボールは片付けられていた。

リビングでサンドウィッチを作りコーヒーを飲んだ。

特にその日は予定もなく自転車で近くの海まで釣りに行った。

外は暑かった。

僕は麦わら帽子を被りポロシャツにハーフパンツ、サンダルで出掛けた。

さすがに彼女は家にはいなかった。

途中で近くのコンビニによりカップラーメンを食べて夕方まで釣りをした。

その日はハゼが4、5匹ほど釣れた。

調理をするつもりもなかったので、そのまま海に帰した。

家に帰ると母親は仕事中だったので冷蔵庫にあるものでオムライスとサラダを作った。

食事を終える頃に母親が帰ってきた。

また知人を連れてきているようだったので僕は流し台に食器を戻し洗おうとすると昨日の彼女だった。

「ただいま」

彼女はにっこりと僕に言った。

おかえりなさい。

「今日は私が夜ご飯を作ります。これからしばらくはお世話になるのだから」

彼女は母にそう言うと、母はじゃあお願いするわと言った。

「ん?」