「『いい気持ち』と、屈託のない声で目を細めたかと思えば、次の瞬間、声よりも息に近い蜜のように甘えた声を上げて、俺を誘い込む」
卯波先生が軽い微笑を右の頬だけに浮かべる。
「困ったなって顔、参りましたか?」
「とっくに参っている。吐息まで甘くさせる、その鼻にかかった甘ったるい声が俺を悩ましく惑わせる」
ずっと卯波先生が恋しかった。
初めてひとつになれたときに感じた、夢のようなときめきを、今もまた全身に感じる。
「どうしようもないくらい卯波先生が大好きだから、卯波先生の中に入って卯波先生になりたい」
嬉しくて涙がポロポロ溢れたから、なかなか鼻声はおさまりそうにもない。
「卯波先生のすべてが欲しい、いつも、いつまでも」
「有言実行だな。桃は狂わしいほど激しく俺を求めてきた」
「卯波先生も?」
「当たり前だ。桃を目の前にして平常心でいられるか」
いつでもクールに振る舞い冷静沈着で貴公子然とした卯波先生が、心も声も体も乱れたことがとても嬉しくて抑えきれない笑顔が、私の顔中いっぱいに広がる。
私を抱き締めていた卯波先生が、持て余す長い腕を伸ばしてサイドテーブルのグラスを手に取る。
「顔も体も紅潮して喉が乾いただろう?」
サイドテーブルにグラスを戻す背筋から肩から腕にかけての筋肉が、惚れぼれするほどかっこよくて、つい見惚れてしまう。
「なに?」
不思議そうに目を細めて見てくる。
「素敵すぎるから、見つめずにはいられなくなるの」
「ロマンチックな気持ちにさせる口が甘い。その大きな瞳が瞬きするたびに、目からハートが飛んできて突き刺さる」
左胸に軽く人差し指をあてて二度つつき、困ったように首を傾げている。
「桃の体が驚いているんじゃないか? クールダウンには持ってこいの場所だ、おいで」
卯波先生が、おいでの合図に微かに首を優しく傾ける。
「大好き」
弾むように飛び込んでも、びくともしない厚い胸板に体を埋める。
「だろうな」
「逞しい腕枕に憧れてました、頼りがいがあって男らしいから」
初めてのときから想っていたことが、恥ずかしくて言えなかった。
迷子になったサニーの散歩のときに、胸躍りときめいた気持ちが、また胸を頭を駆けめぐり熱くさせる。
「悪い奴だ」
「悪い奴だと言われてもいいの。大好きな卯波先生に触れたいし抱き締めたいの」
うっとりするほど、きれいな卯波先生の顔を仰ぎ見る。
「どういうつもりでラゴムに来ていたんだ、真面目に仕事をしろ」
ほどよく筋肉のついた逞しい腕に体をあずける。
「いつもスクラブ姿を見ながら、そんなことを考えていたのか?」
「ち、違います」
「ときめいていたんだろう?」
完全に心を読まれちゃって恥ずかしい。
それなのに、じっと見つめ合ったまま視線が外せない。
卯波先生が軽い微笑を右の頬だけに浮かべる。
「困ったなって顔、参りましたか?」
「とっくに参っている。吐息まで甘くさせる、その鼻にかかった甘ったるい声が俺を悩ましく惑わせる」
ずっと卯波先生が恋しかった。
初めてひとつになれたときに感じた、夢のようなときめきを、今もまた全身に感じる。
「どうしようもないくらい卯波先生が大好きだから、卯波先生の中に入って卯波先生になりたい」
嬉しくて涙がポロポロ溢れたから、なかなか鼻声はおさまりそうにもない。
「卯波先生のすべてが欲しい、いつも、いつまでも」
「有言実行だな。桃は狂わしいほど激しく俺を求めてきた」
「卯波先生も?」
「当たり前だ。桃を目の前にして平常心でいられるか」
いつでもクールに振る舞い冷静沈着で貴公子然とした卯波先生が、心も声も体も乱れたことがとても嬉しくて抑えきれない笑顔が、私の顔中いっぱいに広がる。
私を抱き締めていた卯波先生が、持て余す長い腕を伸ばしてサイドテーブルのグラスを手に取る。
「顔も体も紅潮して喉が乾いただろう?」
サイドテーブルにグラスを戻す背筋から肩から腕にかけての筋肉が、惚れぼれするほどかっこよくて、つい見惚れてしまう。
「なに?」
不思議そうに目を細めて見てくる。
「素敵すぎるから、見つめずにはいられなくなるの」
「ロマンチックな気持ちにさせる口が甘い。その大きな瞳が瞬きするたびに、目からハートが飛んできて突き刺さる」
左胸に軽く人差し指をあてて二度つつき、困ったように首を傾げている。
「桃の体が驚いているんじゃないか? クールダウンには持ってこいの場所だ、おいで」
卯波先生が、おいでの合図に微かに首を優しく傾ける。
「大好き」
弾むように飛び込んでも、びくともしない厚い胸板に体を埋める。
「だろうな」
「逞しい腕枕に憧れてました、頼りがいがあって男らしいから」
初めてのときから想っていたことが、恥ずかしくて言えなかった。
迷子になったサニーの散歩のときに、胸躍りときめいた気持ちが、また胸を頭を駆けめぐり熱くさせる。
「悪い奴だ」
「悪い奴だと言われてもいいの。大好きな卯波先生に触れたいし抱き締めたいの」
うっとりするほど、きれいな卯波先生の顔を仰ぎ見る。
「どういうつもりでラゴムに来ていたんだ、真面目に仕事をしろ」
ほどよく筋肉のついた逞しい腕に体をあずける。
「いつもスクラブ姿を見ながら、そんなことを考えていたのか?」
「ち、違います」
「ときめいていたんだろう?」
完全に心を読まれちゃって恥ずかしい。
それなのに、じっと見つめ合ったまま視線が外せない。


