策略家がメロメロ甘々にしたのは強引クールなイケメン獣医師

「ラゴムは、獣医の卯波や俺がいないと成り立たない。でも、受付業務や助手をしてくれる坂さんや緒花に支えられながら運営されてる」

 院長の説明が聞きたくて、院長の声が流れるように耳に入ってくる。

「特に受付カウンターの坂さんは、オーナーと会話する最初の人物であり責任重大だ」

 院長が、同意を求めるように卯波先生に視線を向けると、黙って卯波先生が同意のしるしに頷く。

「オーナーの感情を汲み取って、なおかつ状況の把握を行う。それだけ高いスキルが求められるから責任重大なんだよ」

 坂さんに向ける院長の眼差しは、優しく、且つ、敬意を払っている様子が感じられる。
 
「俺たち獣医のうしろには、坂さんや緒花のサポートチームがある。俺たち獣医は、二人に支えられてるからやっていけるんだよ」

 恐れ多いことを言わないでよ。まだまだ私は、頼られる存在にまでなっていない。

「緒花くんは、明るさが溢れるように屈託のない笑顔を振りまくから、周りを明るくさせる」

 え、卯波先生が面と向かって私を褒めてきた。どうした風の吹きまわし? 
 や、ここは正直に嬉しさを満面の笑みで表そう、隠しきれない喜びを。

「今は笑顔だけがあればいい、多くを求めはしない。緒花くんの笑顔に、日々感謝をしている」

「お前どうした? 頭を打ったのか? それとも、オペで緒花の衝撃にやられちまったのか?」

 大丈夫かと、前のめりになった真顔の院長が、人差し指でこめかみを突っつきながら、テンポよく卯波先生に問いかける。

 院長、頭の上にクエスチョンマークが飛び交うのが見えてますってば。
 それは、せめて隠そうよ。

「緒花さ、よほど卯波を驚かすことを言ったんだな」
 まあ、驚くような引いているような目で見られた自覚はある。

「笑顔が、緒花さんの魅力よね。たしかにオーナーからも評判がいいもの」
「私は、坂さんの包み込んでくださる笑顔が好きです」

「いつでもどうぞ」
 ふわりと両手を八の字に広げる坂さんが、おどけて笑ってくれる。

「三人には感謝してるよ、いつもありがとう」
 膝に両腕をつっかえ棒みたいに置いて、院長ったら改まっちゃって。

 院長も笑顔満開、いつも顔にパッと花が咲いているし、周りを明るく照らす太陽だよ。