「よっ、ひより。お前も今帰り?」
「うん。そうたも?」
「おう」
そうたは大股で歩き、すぐに私の隣に来た。
早川そうたとは小さい頃から交流があり、高校でもたびたび一緒にいる。しかし、時々今日の早紀のように「好きなの?」とまちがわれることがある。
「そうた」
「ん?」
「そうたって、好きな人いる?」
「…何で?」
「いや、どうなのかなと思って」
そうたが急に立ち止まるので私も数歩前で止まった。
「ふ~ん」
「で、どうなの?」
再び歩き出し、繰り返し尋ねる。
「…いる」
「へ~」
「何だよ。その反応」
「いや、意外だなと思って」
「はぁー…」
私が正直に答えるとなぜか深い溜め息をつかれてしまった。