ツバサは終始、ヒナと目をあわせないようにしていた。

…動揺していた。

どちらかというと、妊娠の事実そのものよりも、ヒナの生みたいという意見に動揺しているようだった…。


「つばさ…ひどい…ひどいよ……」

泣き出すヒナ。しかしツバサは抱きしめるなんてことはしなかたった。


いま、自分のおなかのなかには命が宿っている。
今まで自分の命なんてどうでもよかったのに…


自分のおなかのなかに命がいるってわかった瞬間…

びっくりしたけど…命の重さってやつが少しだけわかったんだよ…

なのに…
翼はその重くて大切な命も否定するんだ…。




足はやに立ち去る翼。

その背中をみながらヒナはとうとうツバサと別れる決意をした。