「…アオちゃん、八尋くんはどっちなの?」


 とリオちゃんが私に聞く。


 …あ、そういえば、どっちなんだろう。


「…わかんない」


「…アオちゃん、八尋くん文系って言ってたよ」


 とカエちゃんが言った。


 え、うそ。


「…いつ言ってたの?」


「なんかこの前男子と話してるのが聞こえた」


 ということは、2年生になったら絶対にクラス離れちゃうんだ。


 同じ教室にいることもない、授業中の八尋くんも見ることができない。…隣の席にも、なれない。


 今まで当たり前だと感じていたことが、もう当たり前じゃなくなるんだ。


 同じクラスでいられるのも、あと約3ヶ月。


 私は急に目の前に現れたタイムリミットに、呆然とした。


 空に浮かぶ雲が、ゆっくりと、でも確実に流れていた。