「当日どうしよっかー? やっぱりイルミネーション見たいよね? その前にどっかでご飯食べるとして、少し早く集合して映画見るのもアリだね。あ、ちなみに里菜ちゃんち門限ある?」
先輩はポテトをつまみながら、スマホ片手に矢継ぎ早に質問してくる。
「門限はない……ですけど」
「けど?」
「なんか……楽しそう? ですね。先輩」
聞くと、先輩は一瞬我に返った顔で見つめ返してきた。
やがて何かを誤魔化すみたいにアハハと笑って「そうかなー?」と言う。
「だって里菜ちゃんとこうやって出かけるの初めてでしょ。初デートはワクワクドキドキするもんじゃん?」
「あー、なるほど」
どんな女の子相手でも初デートは楽しみってわけか。というかこの人はきっとこれが通常運転なんだろう。
さすがは女タラシだ。こんな風に何気なく女の子を期待させてしまうんだから。



