キミの愛情120%



思考が変な方向に行きかけていると、クラスメイトの女子から「岸本さーん」と声をかけられた。


「先輩が来てるよ」


え?

教室のドアの方を見ると、松原先輩が爽やかな笑顔とともに「よ」と片手をあげてリナを見ていた。

周りの女子たちがにわかにきゃあっと色めき立つ。


「松原先輩だ~」

「やっぱり岸本さん、松原先輩と付き合ってるのかな」

「マルは汐見先輩とラブラブだもんね。いいな~」


いや、付き合ってない……。告白すらさせてもらえずにフラれましたが……。

でもあくまでひそひそ話している女子たちに割って入って否定する気にもなれない。ていうかリナはマルとチョコちゃん以外の女子とあんま仲良くない。

そのへんの社交性はリナたちの中ではマルがダントツだ。チョコちゃんは言わずもがなである。


周りの女子の視線を感じて落ち着かない気持ちでドアの方へ向かう。昨日ぶりに見る先輩は、やっぱり腹が立つほどカッコよくて好みの男だった。