「あれは、そのぉ……事情があって」
「はいはい。あたしたちと話したくなかったのよね」
「朝からなーんか変だなあとは思ってたけどねー」
「ええっ!?」
「でも聞いて欲しくなさそうだったから聞かないであげたのよ」
「あ、朝からぜんぶお見通しだったってことぉ……!?」
なにそれ。必死に取り繕ってたリナがバカみたいじゃん!?
ショックで言葉を失っていると、マルが可笑しそうに「当たり前じゃん」と言って笑った。
「もう3年も一緒にいるんだよ? そのくらいわかるよ」
何気ないその言葉に、泣きそうになった。
ああ、自分、ほんと馬鹿だなあ。
他人の表情の機微に人一倍鋭いマルが、気づかないわけないのに。
そして、自分の想いと同じくらい他人の想いも尊重するチョコちゃんだから、リナが話したくなるまで問い詰めたりせずに待ってくれるって。
リナは誰よりも、わかってるはずなのに……。