結局6限目に少し遅れて教室に入り、マルとチョコちゃんとちゃんと話せたのは放課後になってからだった。



「りーな」


他のクラスメイト達がぞろぞろ教室を出ていく中、マルに声をかけられてドキッとした。

おそるおそる顔をあげると、マルとチョコちゃんがカバンを持ってこっちを見ている。

その光景が、いつかの懐かしい記憶と重なった。



「3人で帰る? 久しぶりにさ」



リナのウジウジを吹き飛ばすみたいにマルがニカッと笑って、その横でチョコちゃんがスマホを見ていた目を少しだけこっちに向けて、小さく微笑む。


……ああ、そうだった。

中学の頃からふたりはこんなふうに、なんでもないみたいにリナを救ってくれていたね。





「で、なにがどうなって松原先輩と抱きしめあってたの?」

校舎を出て少しして、マルがあっけらかんとした声でそう尋ねてきた。


「だ、だ、抱きしめあってないよお……!」

「はあ? こっちは見たくもないあんたとチャラ男のイチャつきを見せられてんのよ。今更恥ずかしがってないで言いなさいよ」

「いちゃ……!?」

「そうだよー、里菜だって狸寝入りしてたじゃん」


うええ、やっぱり気づかれてた……恥ずかしい。穴があったら埋まりたい。