「違いますよ! でも、今は時間がないんです。悠長に運命の人を探してる場合じゃない」

「俺は良いと思うけどなあ。運命の人を探しながら、大好きな人を思って、なりたい自分を目指す里菜ちゃん」

「…………」

さすが女タラシ選手権一位の男だ。口が上手い。たぶんリナじゃなきゃほだされてた。

ぐぬぬと言葉を詰まらせていると、先輩は眉を下げて優しく笑った。


「彼女作らない主義とか言ってる俺が言うことじゃないかもしれないけどさ。だからこそ、里菜ちゃんのあの二人を大好きな気持ちとか、なりたい自分への努力とか、そういうものがすごく尊く見える」

「…………」

「俺は、里菜ちゃんみたいな強い気持ちを他人にも自分にも抱いたことないから。すげーカッコいいなって、思うよ」

「……カッコよくないですよ。リナ、結構恋愛上級者だと思ってたのに今こんなだし」

「うん。そこも可愛いよね」

「かっ………!」


かあっと顔が熱くなる。

ホントこの男嫌い! 口が上手くて顔が良くて、リナに都合のいいことしか言わない!