「リナは、マルに彼氏ができて本当に嬉しいんです。やっとマルの良いところをわかって、好きになって、あんなに愛してくれるひとが見つかって、本当に本当によかった」



どうしてリナは今、こんなに彼氏がほしいのか。

頭の片隅で二か月前のことを思い出しながら、言い訳みたいな言葉がつらつら出てきた。


「でも、だから……」


膝の上で、ぎゅっと手のひらを握りしめる。


「リナだけ彼氏ができないのが、なんか、つらい。やっとあの二人の隣に並んでも大丈夫な自分になれたと思ってたのに、二人はどんどん前に進んでく。また、リナだけ置いていかれる……」


二人は、彼女たちのいいところをしっかり見てくれる人を見つけて、愛し合って、またひとつ素敵な女の子になっていく。

リナだけが二人に執着したまま、前に進めず、中学の頃の記憶に囚われている気がする。


「なるほどねー……」


難しいねえ、と言って、先輩は上を向いて、曇った冬空を見上げた。