「でもどうしよう。このままじゃクリスマスが……。せっかく彼氏のいるクリスマスにできると思ったのに……」
うつむくリナを、綺麗な顔した先輩が不思議そうな顔をしてのぞきこんでくる。
「そもそもさ、なんで里菜ちゃんはそんなに彼氏が欲しいの? マルちゃんとチョコちゃんに彼氏ができたから?」
「……そおです。馬鹿みたいって思うでしょ。でもリナには大事なことなんです」
「馬鹿みたいなんて思わないよ」
顔をあげて先輩を見ると、ニコッと人懐こい笑顔で「あのときの、衝撃すぎて忘れらんないし」と言う。
「……できれば忘れてほしいんですけどぉ」
「忘れませーん。だからさ、里菜ちゃんがあのふたりのこと、どれだけ好きかは知ってるつもりだよ」
……長谷部くんは先輩のこと『人の心がない』なんて言ってたけど、そんなことない。
だって、あのとき……先輩は、リナの話をちゃんと聞いてくれたから。



