「そういう日は、俺じゃなくて本命と過ごしてほしいんだよね」
……え。
予想してなかった答えで、思わずあっけにとられた。
だから、先輩はわざわざクリスマスを一人で過ごすの?
それってなんか……なんか……。
「せ、先輩が本命の子は?」
「そういう子は特に期待するでしょ、クリスマス一緒に過ごしたら。言ったじゃん、俺は彼女作らない主義だって。期待させても悲しい思いさせるだけだから」
「……じゃあ、さっきの人も?」
「うん。断ったけど諦められないみたいだったから、『本気になっちゃったんならもう会わないよ』って言ったら」
ローズティーぶっかけられた、と言って先輩はケラケラ笑う。いや笑い事じゃねーよ。
「……じゃあ、先輩は誰からの誘いも断って一人で過ごすんですか?」
「うん、そー。クリスマスだけはね。去年もそうだった」
「……だったら、この前リナに『一緒に過ごす?』って言ってくれたのも、冗談だったってことですか? 断りましたけど、ひどすぎません?」
マルとチョコちゃんにフラれて落ち込んでいたリナに、そんな冗談はつらすぎる。



