何気なく窓の外に目を向けると、中庭を歩く男子生徒が見えた。
……そう、リナの好みってあんなタイプ。ああいう男がいい。
180センチ近くはありそうな身長と、柔らかそうな明るい茶髪、その隙間で光る小さなピアス。
何よりあの整った顔立ちに、人なつこそうな笑顔で……。
「ふふっ。やだあ諒〜!冗談ばっかり」
「え〜?ホントだって!ミカちゃんて美人だしスタイルいいし、さらさらの髪とかもう天使じゃん」
「も~バカ! でも嬉しい……ありがと♡」
………前言撤回。
あんなふうに女の子とバカみたいな会話してるクソ野郎は、論外。
「サイアク、嫌なもん見た……また別の女の子だし」
思わず呟いて目を逸らすと、窓の下から声が飛んできた。
「あれー、里菜ちゃん?」
「!」
思わずそっちを見ると、切れ長の瞳が上機嫌に細められていた。
女の子を惑わす、あまい笑顔。
「何してんの」
顔に一気に熱が集まる。
ええい、リナお得意のこのぶりっ子スマイルを見よ!



