キミの愛情120%



何気なく窓の外に目を向けると、中庭を歩く男子生徒が見えた。


……そう、リナの好みってあんなタイプ。ああいう男がいい。


180センチ近くはありそうな身長と、柔らかそうな明るい茶髪、その隙間で光る小さなピアス。

何よりあの整った顔立ちに、人なつこそうな笑顔で……。


「ふふっ。やだあ諒〜!冗談ばっかり」

「え〜?ホントだって!ミカちゃんて美人だしスタイルいいし、さらさらの髪とかもう天使じゃん」

「も~バカ! でも嬉しい……ありがと♡」


………前言撤回。

あんなふうに女の子とバカみたいな会話してるクソ野郎は、論外。



「サイアク、嫌なもん見た……また別の女の子だし」



思わず呟いて目を逸らすと、窓の下から声が飛んできた。



「あれー、里菜ちゃん?」

「!」



思わずそっちを見ると、切れ長の瞳が上機嫌に細められていた。

女の子を惑わす、あまい笑顔。


「何してんの」


顔に一気に熱が集まる。

ええい、リナお得意のこのぶりっ子スマイルを見よ!