「どうしたの?」
「里菜ちゃん、ちょっと前歩いて」
言われた通りに少し歩いて、振り返る。
その瞬間、フラッシュとともにパシャっと音が聞こえた。
「わあ、何!?」
「あはは。これで最後の一枚」
その手にあるのは、リナがクリスマスにあげたフィルムカメラ。最後の一枚ってことは。
「もう27枚撮ったの?」
「撮れちゃったねー」
「予想より早いね」
「早かったねー。まあ、半分くらい里菜ちゃんだけど」
「ええっ、うそ。もしかして隠し撮りした?」
「まあまあ。現像してからのお楽しみってことで。今度一緒に行こ?」
「もー……アルバム作るとき恥ずかしいじゃん」
頬を膨らませながら先輩の方へ戻る。
先輩はリナを見つめて、夜の空気に溶けちゃいそうな声でつぶやいた。



